猿投の森づくりの会・公式ブログ

猿投の森づくりの会は、公益社団法人 日本山岳会 東海支部内のグループです。愛知県瀬戸市と豊田市にまたがる猿投山の西麓の森で、森の保全や有効利用を目的に活動しています。

2016年07月

H28 第2回緑陰講座

平成28年7月23日(土)
開催場所:やまじの森 三又広場周辺
テーマ「森林土壌」 講師:森林インストラクター 川合壽之氏
参加者:15名
 三又広場の河畔で講義を受けた後、河畔の傾斜地、小屋跡地、北歩道沿い赤松林の地盤を掘削して実際に地層を確認しながら、土壌の状況を説明して頂きました。
 当日配布された、資料の項目は、次の通りでした。
 「森林土壌の基礎知識と見分け方」
・なぜ土壌を調べるか 
 新たな樹木を植えるのに適している土壌かどうかを知る:既往人工林の今後の保育の目安とする
 森林の機能を知る(水土保全等)
・土壌とは
  崩壊した岩石が風化して有機物と混合した状態で元の岩石とは異なった性質となったもの。(岩石が風化しただけの粒子や粘土等だけでは土壌と言わない)
 通常数十年から数百年かかって形成される。
・土壌断面から土壌型を知る 
 樹木を育てるのに向いた土、向かない土
 土壌は植物の生育を助け、また植物は土壌を変化させる。相互関係
 土壌型と生育植物の関係は深い(指標植物)植物により湿性や乾燥を好む種、特に酸性やアルカリ性を好む種がある。
 植物を見るとある程度土壌型を推定できる。

林業実務者としては、土壌型を判断できることが最も重要
 
良好な土壌は、植物の成長が良いだけでなく、環境保全にも役立つ最近は、特に土壌の機能増進施業が求められている。(森林計画 間伐実施による土壌崩壊発生等 対策:パンのような団粒状構造の維持と発達ににより降雨が速やかに吸収し、徐々に地下から川へ流出させる)
・土壌は環境により様々な性質のものができる
 原料、地形、気温、降水量
・土壌は層構造をしている
 A0層(落葉腐植層) 
 3区分する L層:落葉層 F層:有機物移行層 H層:有機物層
 A 層(腐植の多い鉱質土壌) A1層:腐植の多い鉱質土壌  A2層:腐植のやや少ない鉱質土壌
 B 層 A層の下位(腐植に乏しく明るい色調の層)
 C 層 (基層)母材層 比較的粗粒、石礫の含有が多い

有機物が土壌の主要要素
 落葉、落枝、生物の遺体などは分解して有機物となり徐々に地中に染み込んでいく、有機物は菌類、小動物、微生物などにより無機化され再度植物に取り込まれる。

 以下「土壌の調べ方、森林土壌の特徴一覧」は割愛させて頂きました。
DSCF1701講義

DSCF1714三又地層



 

定例作業報告

7月23日(土)曇り
作業参加者全員 15名 
 比較的涼しい日となりました。樹木の間を風が通ると身体がシャキッとするような、一日でした。
 午後からは、緑陰講座第2回目「森林土壌」が開催されるため、作業は午前中で終わりました。
 作業終了後、参加者全員が三又広場に集まり昼食を摂りました。
雑木林G (参加者 6名)
 今回もカワセミコースの林道沿いに除伐作業が進みました。コナラの枯損木(カシナガキクイムシの被害により枯れて腐食が進行しつつある大径木:胸高直径90㎝超え:)の伐倒をし、上空にポッカリと青空が望めて周辺が明るくなります。やがて地中に埋蔵した無数の種子のなかで、植物界のルールでもっとも優先される樹種の発芽が始まります。除伐作業は、こうして森林の更新に役立ちを担っています。
 DSCF1698枯死木伐倒

人工林G 参加者4
 今回は散策路の標識調査に参加された3人を除き4名で作業を行いました。
 まずゲート近傍の車や人通りの多い林道にかかるようにあった枯死木2本を伐採しました。2本とも大きめで、その内の1本は折れた枝が林道に散らばっていて危険な状態でした。除伐位置の道路両方向に見張りの人を配置し安全に期しました。1本目は予定の方向へ倒れましたが、2本目の伐採では追い口の位置が高めであったためツルがうまく作用せず30度ほどずれて倒れてしまいました。大先輩のKさんから基本に従って作業をするよう指導を受け勉強になりました。今後は基本に則り作業をするよう心がけたいと思います。
 そのあと移動し前回より作業途中となっていた実生林の除伐を行いました。スギとヒノキの実生林にウツギ等が絡みつき密生していました。不要の木を除伐したら見晴らしが良くなり、なんとサルナシが一杯実を付けているのを発見し感動しました。実りの秋が楽しみです。

 午後からは緑陰講座があるため三又広場へ集合しました。

民有林整備活動報告

7月19日(水)上ノ山地内の民有林整備
  参加者6名
 梅雨が明け、夏本番の到来となりました。
 作
業地は炎天下では非常に熱いのですが、さすがに森です、日陰は涼しく感じます。
 今回は、6名の参加があり、カシを3本伐倒しました。葉が生い茂り、木が非常に重くなっているように感じました。牽引具としてチルホールとプラロックを使い伐倒方向を確認しながらの作業です。思い通りの方向に倒れた時はやった“という喜びを感じます。葉が多いだけに、倒した後の整理は大変で、また、天下の作業なるので自然の厳しさを身をもって感じました。
 夏本番の中の作業でしたので早めに作業を終え、すぐ近くの喫茶店に寄り涼しさを満喫しました。
19民有林作業
 南側が開け 炎天下の作業となりました。

第64回山路の森観察会報告

平成28年7月16日(土) 曇り
テーマ   : 夏の野草
参加者 :15人
観察コース: 山路の森入口→ ゲート→ トイレ → 三叉路 → 
砂防堰堤(湿地)→ 三叉路
今回は、事情があって山路の森入り口からの観察会となりました。
入り口近くの右側には海上の森からの林道があります。
この林道を1時間ほど歩くと海上の森駐車場に着くそうです。
 夏草は、ムラサキニガナは咲終わりに近く、ツルニガナは、咲はじめ、ハエドクソウは、満開でした。
 それぞれ勢いが良く、時にはツタウルシが顔を出しています。幼い葉っぱは鋸歯が多く惑わされます。「危ない、危ない」 要注意です。
 イワガラミが咲終わりの合図をしています。マタタビが花と見間違える程、真白に片面変身です。
 やっと10cmほど大きくなった、ミズタマソウ、アケボノソウ、ナギナタコウジュ、健在です。
 先回蕾だったミカワショウマの群生地に行ってみようと言うことになり足を速めて行ってみました。すると10株以上はあると思われる株が満開でした。真っ白に咲いている姿に感動しました。周りではクロツグミがバリエーションある鳴き声をしていました。
 三叉路に戻るとチダケサシが薄ピンク色の花を咲かせていました。そこで遅いお昼になり、その後解散となりました。
 今回は、距離6、5km・9200歩の観察会でした。

(今回は草本が主になりました)
 草本  
 オカトラノオ 花、ハエドクソウ 花、ムラサキニガナ 花、
 ダイコンソウ 花、キツネノボタン 花、ノコンコンギク 花、
 ジャノヒゲ 花、アキノタムラソウ 花、ヨウシュヤマゴボウ 実、
 ヒヨドリバナ 蕾、ヌスビトハギ 花、ツルニガナ 花、ノギラン 花、
 チゴユリ 実、ヒメウワバミソウ、コメナモミ、キンミズヒキ、
 ボントクタデ、ヤブタバコ、アケボノソウ、ミズタマソウ、オトコエシ、
 ナギナタコウジュ、イヌコウジュ、アキノキリンソウ、チダケサシ 花、
 ミカワショウマ 花、オオバウマノスズクサ 実、
 木本
 タニウツギ、ヤマアジサイ 花、ナツフジ 花、マルバハギ 花、
 ムラサキシキブ 実、シロモジ実、コゴメウツギ、イワガラミ、
 マタタビ、タマミズキ幼木、アマズル、ノブドウ
 イモムシ
 ミスジビロードスズメ(体長4cm)
 野鳥
 イカル、メジロ、ウグイス、ヤマガラ、アオゲラ、ホトトギス、クロツグミ、
 ヒヨドリ
P7160094ムラサキニガナP7160096ミカワショウマ
ムラサキニガナ         ミカワショウマ
P7160094ミスジビロウドスズメ
ミスジビロードスズメ




 

平成28年度 第1回緑陰講座開催報告

テーマ「上山路川を知る」(上山路川遡行)

平成28年7月12日(火)12:45~15:15
講師・リーダー Т・W

参加者:19

今年度も5回に亘り定例作業日の午後に緑陰講座を開催してゆきます。
第1回は、表記の期日とテーマで開催しました。
午前中、各グループに分かれて森づくり作業を行い、作業終了後全員が朴の木平に集合して昼食を取りました。昼食後朴ノ木平を出発し、上水取入口に向かいました。上山路川遡行ルートは、朴の木平~瀬戸市上水取入口~上山路川~(十字合流点~山路大滝~岸壁:石切場)~作業道~林道~トイレです。

 朴の木平~上水取入口:多くの枯死木の倒木が道を横切っていました。倒木はほとんどが松でした。23年前は殆ど見られなかった情景でした。
 上水取入口~十字合流点:この間は、下流半分ほどは、谷が深く右岸に作業道が通じているため、作業道を歩いてのゆるい登りでした。

 上山路川(十字合流点)~作業道:十字合流点では、渓流が3本合流して、合流点の直ぐ下流に二本石橋が架かっています。ここで小休止して息を整えて、上流に向かって真ん中の流れに入り本格的な沢遡りとなりました。
 絶対ドボン(深みにはまる、転倒)はしないぞと意気込んでいましたが、流れの中の砂地に踏み入れた途端、長靴に水が侵入、慌てて引き抜こうとしたその時、バランスを崩し、尻餅、ズボンまでびしょびしょ、残念!!後は、かえって開き直って気軽に沢を歩くことができました。

 足の置き場を選びながら、小さな滝を横目で見て、大きな滝を高巻き、平坦な岩盤を滑らぬように、行く手を遮る岸壁を高巻きしたり、フィックスロープにすがってよじ登って、最後は、急斜面を木につかまり登り切り、林道に続く平坦な道に出て、ここで、参加者全員が集結するまで小休止。
 林道から東海自然歩道のトイレに到着すると、S・KさんとA・Kさんが、車で待機して頂いておりました。朴の木平へ運転者を送ってもらい、林道を下ってくる参加者を回収し、やまじ小舎に集まって、散会となりました。

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定例作業報告

2016712日(火)くもり
全参加者:19名 

人工林グループ
参加者8名 
 三又から看板裏尾根筋に沿って両側の枯死木の除伐を行いました。
 まず三又から看板裏尾根筋に沿って緩やかに登り散策路に出たら右に折れ、右にカーブしながら小木の人工林地点まで歩き、枯死木の本数を調べました。尾根筋周りと散策路周りそれぞれに数本ずつの枯死木がありました。この日は午後から緑陰講座が予定されていましたので午前中だけの作業です。尾根筋の枯死木の除伐だけを行うことにしました。
 二手に分かれて離れて作業を行い8本の枯死木や傾いた木を除伐しました。一方これと並行して前々回実施したトイレ奥の実生林の除伐作業を進めました。
 午後は緑陰講座のため早めに作業を切り上げ集合場所の朴木平に移動しました。

12人工林g1
雑木林グループ 
参加者11名(カワセミコース10名、朴の木平1名草刈) 
 雑木林Gは、林道からカワセミコースに入ったエリアの傾斜木や棘のあるニセアカシア(ハリエンジュ)の除伐、および笹刈りを実施しました。作業中、コガタスズメバチと思われるハチ刺されがあり、吸引器で対処ししまた。一時作業中断したもののハチスプレーで対応して作業を続行ししました。

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第14回わいがや講座

2016年7月5日(火)

開催場所:尾張旭市新池交流館ふらっと

参加者 14名

テーマ:「矢田川山口堰堤と瀬戸のSABO

講 師:矢田・庄内川を綺麗にする会 M.M 氏

 前もって頂いていた講師のプロフィールに目を通したときには、その経歴に圧倒されてしまいましたが、当会のOさんの先輩とのことで、また話しを伺うと実に気さくな方で緊張も和らぎました。

 自己紹介のあと、パソコンとプロジェクターを使い地図や写真を見ながら進められました。まず矢田川の水系について説明がありました。瀬戸市街地を流れる瀬戸川は矢田川の支流で、その上流部に水道水源となっている馬ヶ城堰堤がある。本流の矢田川は当地域では山口川と呼ばれ、洪水調整用ゲートと山口川堰堤と呼ばれるダムがある。山口川は瀬戸川と合流し矢田川となる。山口川上流は赤津川となり、猿投山を水源とする。上流に山路の森を流れる支流の山路川がある。山路川から馬ヶ城貯水池に水が無動力で供給されている。

 山口川堰堤に近づこうと試みたが荒れ果てて道は無く行くことができなかったとのこと。写真で見ると、ダムは錆び付いてまったく水利ダムとして機能しておらず、また航空写真によるとダムは堆積土で埋まってしまい草木が生い茂った状態になっていることが分かる。

 当時の瀬戸川の流域は飲料水に乏しく、その水質も概して悪いものであった。山口川上流とその支流に取水堰を設けて分水し、鉄管により馬ガ城貯水池へ導水する瀬戸市の上水道計画が明らかになると、灌漑用水を山口川に頼っている下流農民の猛烈な反対にあった。

 この時期、瀬戸市周辺の林地の荒廃に対して砂防工事が計画されていて、山口川に砂防堰堤が施工されていたが、県はこの砂防堰堤を嵩上げして改築し、治水の目的に加えて下流域の灌漑などの水利を確保するための貯水池建設を計画した。瀬戸市の馬ガ城貯水池を含む上水道敷設工事が完成した昭和8年末になって水利紛争は解決し、12月16日山口川堰堤改築工事が開始され、翌年3月31日堰堤が竣工した。堰堤工事の完成を記念して碑が建立され「興利除害」の文字が刻まれている。山口川堰堤は、利水(農業用水の確保)と洪水調整の目的で建設され、多目的ダムの第1号と位置づけられている。

 

 この地域は江戸末期には岡山(総社市)、滋賀(田上山)と合わせ、森林伐採により花崗岩の風化した日本3大禿げ山の一つであった。明治11年にデ・レーケ、明治38年にホフマンの指導で砂防工事が実施された。ホフマン工事と呼ばれたはげ山の復旧跡が残っている。

 

矢田川の魚道調査の結果、投網とタモ網でアユが採捕された。また、今年新設された魚道の定置網にもアユが入った。しかし堰堤の影響や水質の問題で河川中流域まで遡上するアユは極めて少ない。(矢作川のアユ遡上1000万匹超の7/5付新聞記事があった)

 

 話しを伺って1番印象に残ったことは、いつも山路の森に行くために通っている道路のすぐ近くに、しかしだれも簡単には近づくことができない、わずか3ヶ月半の突貫工事で完成し、かつては満水を貯めていたが堆積土で一杯になり、水利ダムとしての機能を全く維持しなくなった、あたかも廃墟のようなダムが存在するということです。

 

 説明に使われた写真に類似のものをインターネット(Wikipedia、グーグルアース)から参考として引用しました。白黒は当時の様子で、カラーは今の状態です。
山口堰堤 当時 圧縮
山口堰堤 現 圧縮
山口川堰堤     建設当時               現在


 

山桜フィールド活動報告 (炭焼き)

72日(土) 晴れ
参加者10
真夏の炭焼き‥ 中高年にはキツイ作業に10名が集まりました。

名古屋が33度の真夏日に、森の中とはいえ火を焚くのですから、

皆さんよく熱中症にならなかったものだと感心します。

働き者揃いのメンバーで、背負子での竹材運びから、窯の火入れ、

屋根作り、炭材準備等の作業を、大汗を流しながら頑張りました。

 

 ドラム缶窯は、KさんYさんが早出をして火入れをしました。

今回は初めての竹材でしたので、スギヒノキとの違いを考慮し、

口焚きや空気穴調整など、注意深く見守ること5時間‥‥

煙が透明になり、ついに温度計が250度で振り切れました!!

そこで窯を全て閉じ煙突も塞いで終了し、今度こその期待を込め、

次回の窯開けを楽しみに待つことに致しました。

 

 1月に初火入れをしてから半年。当然ながらまだまだ試行錯誤

の段階です。教科書や他所での学習は全く役に立たず、

100回程色々な材を焼いてみて、やっと成功のデータを掴めた」

という資料もありました。

 山桜フィールド特有の谷底の様な地形の為か、風通しも悪く、

湿気が取れない土の状態が影響している様にも考えられます。

あの場所の地形・土・材質にあった炭作りのコツを見極めるまで

皆さん、しっかり長生きして下さいね。


image002 (1)
温度計が振り切れた!! 
image004 (2)
皆さん、働き者
image006
焼うどんランチタイム



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