2018年02月

わいがや講座

日 時: 2018年2月6日(火)
場 所: 尾張旭市新池交流館・ふらっと
参加者: 14名
演 題: GIS(地理情報システム)を活用した人工林の管理
      ー人工林の伐採計画ー
講 師: 東京大学 講師(生態水文学研究所所長) 広嶋 卓也 先生

講義の概略は以下の通りです。
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 日本の林業を取り巻く状況は厳しく、価格は下げ止まり、労働者も高齢化し、地形的にも急峻で木材を運び出すのに非常に労力がかかる。伐採計画をGISを使った管理手段で労力をかけずに効率的に行なう実施例を紹介する。

1. GISの基本概念
 GISとは、Geographic Information Systemの略で地理情報システムの略で、地図情報とそれに関連づけられた文字情報とを合わせた空間データを総合的に処理する地理情報システム。 GISのデータの種類にはラスターデータとベクターデータがある。東大で使っているGISのソフトウエアは、ArcGIS Desktop。
(1)ラスターデータ
        • 格子状に並んだ画素の集合体で構成される図形データ。
        • 例えばデジタル航空写真、デジタル衛星写真、デジタル標高モデル
   等がある。

  <DEMとは>
        • ラスターデータの中で最も重要なものがDEM(デジタル標高モデル)
   で、Digital Elevation Modelの略。

        • 一個一個の格子点毎の位置と文字情報としての標高とを組み合わせ
   データである。

        • GISの作図機能を使って標高別に色分けして表示される。
(2)ベクターデータ
        • 点や線や多角形で表現されるデータ。位置座標が数学的に決められて
   いる。

        • 点のベクターデータとしてはGPSの軌跡の機能がある。
        • 線のベクターデータとしては道路、川、歩道等がある。
        • 多角形のベクターデータとしては林班、小班がある。
  <林班、小班とは>
        • 林班とは、尾根筋、谷筋、川等の自然の地形条件で区分される地域。
   千葉演習林は47林班で構成。
        • 小班とは、林班をさらに再分解したもの。千葉演習林には774の
   小班がある。

2.GISの解析機能
        • 文字情報ベースの検索(属性検索)と地図情報ベースの検索(空間
   検索)の2種類の検索機能がある。

3.DEMを利用した地形解析
        • 標高別に色分けした地図に、光と陰のレリーフで3次元のようにリ
    アルに表示できる。

        • GISの解析機能で、DEM上に引いた一本の直線に沿った縦断面をグラ
   フ表示できる。

4.千葉演習林での活用事例
 GIS解析機能を駆使した森林管理の事例
 (
伐採の適地を自動的に選定する事例)
(1)千葉演習林
千葉演習林は、房総半島にあり標高は低いが複雑で険しい。照葉樹林帯で常緑樹が主体の森林。天然林は針葉樹天然林(モミ、ツガ)と広葉樹天然林(シイ、カシ)。人工林はスギ(60%)、ヒノキ(30%)、面積で40%を占める。
(2)GISの道具
        • ディファレンシャルGPS(高精度のGPS)、レーザーコンパス、
   PDA(携帯コンピュータ)、反射板。

        • ディファレンシャルGPSで正確な位置を決め、そこを起点に距離
   と方角のコンパス測量をしていく 。

(3)GISによる皆伐更新適地の選定
        • GISのデータと解析機能を使って、2013~の5年間の人工林伐採適
   地を効率的、自動的に選定する。

(4)GISの主題図を利用
        • 地位、地利、崩壊危険度の視点から伐採適地を評価した主題図を作
   り、
最終的にそれらを合体させ色々な視点から総合的に見て伐採に
   適し
た場所を自動的に選ぶための地図を作成する。
5.解析に使うGISデータの紹介
 人工林は同じ樹齢の木で小班ができているが、同じタイミングで植えた木同士が競争し、負けたものは間伐の対象となる。競争に勝ったものは優勢木で間伐の対象にならない。空からはその上層木の樹冠が見える。
<地位>
        • 地位はその地域に生える木の成長の良し悪しを表す概念である。
   地が肥えているという概念とは違う。

        • 同じ樹種で同じ樹齢の場合、地位の良いところに生えているスギの
   方が樹高が高い。

        • 地位は上層木樹高で判断する。
6.LiDARによる位置と高さの取得
        • 地位を判定するために上層木の位置と樹高のデータをLiDARで取得
   する。

        • LiDARはレーザー照射機とGPSなどの位置情報を捉えるセンサーと
   を積んでいる。

        • 航空機が飛びながらレーザーを地上に向かって照射し続け、地表の
   何かに当たって跳ね返ったレーザーを読み取る。

        • LiDARによって、樹冠表面の凸凹を捉えたデータと地面の表面の凹
   凸を捉えたデータ
が得られる。
        • 樹冠表面と地面表面それぞれの高さの差を取ることで樹高がわかる
        • 上層木の位置と樹高は自動的に得られる。
        • 本件ではわずか3つの人工林小班で測定し、687本のスギの樹冠
   の位置と樹高のデータを得た。

7.GIS解析手順
  皆伐更新適地の選定手順
 LiDARデータとGISの解析機能を使って千葉演習林全体(774小班)の地位を間接的に推定する。
  (1)林齢の観点から伐採適地を選ぶ・・・高齢であればあるほど立
     派な木。

  (2)地位の観点から伐採適地を選ぶ・・・収穫材積の目安。
  (3)地利の観点から伐採適地を選ぶ・・・集材可能性の目安。
  (4)斜面の安定度の観点から伐採適地を選ぶ・・・再造林後の成材
     可能性の目安。

  (5)上記4つの観点それぞれの主題図を結合し総合的に見て伐採に
     適し
た小班を選ぶ。
  (6)だめ押しで、選んだ候補地が本当に架線集材が可能かチェック
     しベスト5を選ぶ

7−1.林齢
千葉演習林では樹齢80年を過ぎた人工林だけが伐採対象で、特定の林齢以上の小班を自動抽出する。
7−2.地位
地位は上層木の樹高が高いほど高くなる。
異なる林齢のスギを成長曲線に一個一個当てはめて687本全て樹高を40年スギに換算して比べる。
傾斜角、斜面の方位、曲率(尾根、谷、平地)、日射量、累積流量の地形因子の組み合わせでスギの上層木樹高を説明できる関数式を使い千葉演習林の全域の上層木樹高を間接的に計算する。
7−3.地利
地利は集材の可能性の目安になる。土場に近ければ近いほどその森林は伐採に適している。
7−4.斜面安定度
斜面安定度を計算するための計算式がある。数字が大きいほど斜面が安定し伐採後の再造林に適している。
7−5.観点の結合
4つの観点から伐採適地を算定するためそれぞれ主題図を作成後、5番目のステップとして、林齢、地位、地利、斜面の安定度を総合的に結合した伐採適地の評価地図を作り、4つの観点いずれから見ても総合的に伐採地に適している場所を選ぶ。
7−6.可視性から見た伐採適地の選定
だめ押しのステップとして、選んだ小班の一個一個について、本当に架線集材を実施できるか、土場から見て見通せる尾根と土場に絞った。
8.おわりに
4つの小班を選定するまで1人でパソコン上の画面だけでできた。
千葉演習林で樹齢80年以上の高齢人工林を対象に地位・地利・斜面安定度・可視性の観点から今後5年間の伐採適地をGISを使って自動選定した。 森林管理にGISを活用することにより人件費、作業時間を削減できる。
本レポートの作成にあたっては記載内容に間違いのないように十分注意を払っていますが、筆者の理解不足等により間違いがあるかもしれません。その点ご理解よろしくお願い致します。)

民有林整備活動報告

1月30日(火)上ノ山地内の民有林整備

  参加者 7名
  今回は7名の参加があり大変作業が進み、11本の伐倒を行いました。今回の伐倒の目玉は北側隣地の方向に太い枝が伸びているコナラの伐倒でした。大型のチルホールによる牽引で重心が反対の南側方向に伐倒しました。大型チルホールの威力はたいしたものです。

伐倒した樹の後処理に相当な時間を要しました。広葉樹の伐倒には避けられない作業ですから已む得ないことです。

 今回の作業が大いに進みましたので、大きな樹の残りは7本となりました。小さな樹は少しありますので、やはりあと3回ほどの作業は必要となりそうです。
 20180130民有ワイヤー
高いところにチルホールのワイヤーをかけました
20180130民有伐倒

慎重に伐倒しました

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