2017年3月7日(火)
開催場所:尾張旭市新池交流館ふらっと
参加者 8名
テーマ:「樹木医として循環活動を目指して」
講 師:    愛日緑化造園代表取締役 加藤 滋 様

講義の内容
主に瀬戸市近郊の森について話がありました。大変勉強になりました。

1.加藤講師は、名古屋大学農学部で森林生態学を学ばれ、樹木医の資格を始め一級造園施工管理技士、一級土木施工管理技士の資格を持たれている。
会社では、自然本来の魅力にあふれた山採りの木を使って庭づくりを行うことで、ジャングル化した森を再生へとつなげ、「庭づくりから森の再生へ」の循環を生み出しておられる。一方、瀬戸市を中心に24カ所での森ツアーを開催しておられる。

2.瀬戸市の森
(1) 瀬戸市にはマメナシ(東松山町)とマルバタラヨウ(中水野町)の天然記念物指定木がある。
(2) 瀬戸市の森は世界一の多様性を持った森である。
・先進国の中で森林率の高い国は、フィンランド、スエーデンに次いで日本は3番目である。
・かって日本は99%が森であった。
・現在日本には諸説あるが1200種の樹木がある。
・瀬戸市には約350種がある。東大演習林には約300種がある。
・瀬戸市の森の面積は約63㎢である。単位面積当たりの種の数は、350/63=5.6種/㎢
・アマゾンは、木の種類は16,000種、面積が700万㎢、単位面積当たりの種の数は、0.002種/㎢
・屋久島は、木の種類は900種、面積が500㎢、単位面積当たりの種の数は、1.8種/㎢
森の単位面積当たりの樹木の種類を比べると瀬戸市はダントツに大きい。

3.瀬戸市の森の秘密
(1)粘土質の地層
粘土層の上に砂礫層が重なってある。地層の隆起で上側に湾曲すると、雨水は流れ乾燥地帯となる。逆に下側に湾曲すると粘土層の上に水が溜まり湿地帯となる。
モンゴリナラはこの乾燥地帯に生育し、土壌が貧弱で砂礫層が地表に迫っている場所で、根を真っ直ぐに伸ばすことができず斜めに這わせる能力を持っている。
(2)日本の真ん中にある
南側からの常緑広葉樹と北側からの落葉広葉樹、針葉樹の両方が生存しているので種類が多い。
(3)禿山だった
禿山過ぎて大部分が人工林にすることができなかった。
(4)原生林がある
定光寺北斜面に原生林があり、原生林特有の木がある。

5.その他、植物連鎖、輸入材による木材価格の下落、木材自給率の低下、燃料革命、拡大造林や、森のツアーの説明があった。